三次元測定機のスタイラス選定にはポイントがあります。選定ミスをすると測定誤差が出る恐れがあるため、正しく選ぶことが大切です。ここではスタイラスの特徴や種類、選定のポイントを解説します。
スタイラスとは、測定部品と接触をする測定アームや三次元測定器のプローブなどについている「先端」のことです。検査される部品の種類・形状により、使用されるスタイラスの形式とサイズは異なります。
スタイラスは非常に重要で、真円度不足のボールやボールの位置不良、ねじのはめ具合の不良、測定中に過度な曲がりが発生するデザイン不良などのスタイラスを使うと、測定機器の性能や検査結果が損なわれる恐れがあります。
また、定期交換も重要です。製品はちょっとしたことで壊れないように頑丈にできているものの、日ごろの作業では落下・操作ミスによる衝突に気を付けなくてはいけません。長く使用した場合や疑わしい場合は、交換を行いましょう。また定期的に交換時期を定めておけば、アクシデントに見舞われる前に対応できます。
スタイラス選定をする際は、種類ごとの特徴を知っておきましょう。ここでは代表的なスタイラスを紹介します。
ストレートスタイラスは、その名の通りストレートのスタイラスです。とてもシンプルでよく使用されるタイプです。大半の測定に適するため、まずはストレートスタイラスを用意しておけば問題ないでしょう。スタイラス級の材質は、ルビーや窒化珪素、ジルコニアやセラミックなどがあります。またホルダと軸の材質はチタン、超硬、ステンレススチール、セラミックなどがあります。
さまざまな形状の測定に使用できるスタイラスです。幅広い構成を持たせられるため、スタイラスを交換しなくてもさまざまな形状の先端に接触させられるのが特徴です。
ねじ形状・特定のポイント・けがき線の測定用で使用するスタイラスです。先端が球状になっているポインタスタイラスは、精度が高い測定が可能です。非常に小さい穴の位置測定でも使用できます。
スタイラス選定をする際のポイントは、以下の4つです。
測定に使用するスタイラスの先端は、ほとんど球形です。また材質は人造ルビーであることが多いでしょう。真円度・真球度に偏差が生じていると、測定が不確かになり精度が10%も低下します。
スタイラスは長さによって精度低下が拡大します。方向ごとにプローブをトリガーさせる力が異なるのが原因です。プローブはスタイラスと測定物が接触した瞬間にはトリガーしません。センサー機構内のバネ比重を上回る力がかかり、その際に弾性変形を起こします。この変形により、プローブは測定物に対してわずかに移動するのです。
スタイラスが熱膨張すると、測定誤差が発生しやすいです。特に長くなればなるほど熱膨張しやすくなるため、熱膨張率の低い材質を使用する必要があります。
ルビー球をスタイラスの先端として選択することが多いですが、場合によっては他の材質が適しているケースもあります。摩損には頑丈なジルコニアが、擬着摩耗には窒化珪素が適しています。
ルビーも用途次第では適さないケースがあります。たとえば、アルミを対象とする接客スキャニングは苦手です。アルミと合成ルビーは相性が悪く、引き付けることで付着摩耗が起きます。結果、部品表面からボール部分にアルミの堆積が発生するのです。
ボールとチップの径2ミリ以上、長さ最大30mmのスタイラスには、ステンレススチールがよく採用されています。重量とボール/ステムのクリアランスや剛性比、ステムとねじのジョイントを使っても全体の剛性を損ないません。
1ミリ以下の小径ボールで求められる小さなステムを使う場合、超硬が適しています。他に、50ミリまで長さを伸ばしたいときで、その状態でも剛性を求めるなら超硬が適しているのです。
3ミリ以上のボール径、30ミリ以上の長さならセラミック製のステムがいいでしょう。スチールに匹敵するレベルの剛性がありますし、超硬より軽いからです。また、セラミック製ステムのスタイラスだと、プローブシステムの破損予防が期待できます。衝突したときステムが破損しても、スタイラムが犠牲になるかもしれませんが、トリガー装置は保護できるのです。プローブシステムの価格は高価なため、破損時のコストを抑えたいという場合に役立つでしょう。
カーボンファイバーは、ねじれ、長手方向に剛性とともに軽量を持っている材質です。熱にも強く、厳しい産業環境でも防御性を誇ります。50ミリ長以上のCMMスタイラスは、少ない質量でも、高い剛性を持つ材料です。
三次元測定機メーカー15社(※)の門型・アーム型・卓上型・ハンディ型と様々な製品を調査し、導入企業の声が公式HPで掲載されている信頼できる三次元測定機をピックアップ。 そのなかで「測定精度・安定性に優れている機器」「使いやすさ・汎用性に優れている機器」「実績・実例が豊富な機器」という3つに分けて、それぞれの三次元測定機が他と何が違うのかを詳しく解説します。
引用元:キーエンス
(https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/xm/007/2111_01.jsp)
引用元:東京精密
(https://www.accretech.jp/product/measuring/cmm/zeiss_xenos.html)
引用元:ミツトヨ
(https://www.mitutoyo.co.jp/products/measuring-machines/cmm/standard/191-812h/)