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三次元測定機に誤差が生じる原因とは

三次元測定機は精度が高い測定機であるものの、誤差が生じる場合があります。誤差が生じる原因を把握し、精度を保つ方法を実践したり計測機器の構成作業をしたりしながら、より確かな測定が行えるように努めましょう。ここでは三次元測定機に誤差が生じる原因や精度を保つ方法、測定機器の校正作業の重要性を解説します。

三次元測定機に誤差が生じる原因

三次元測定機に誤差が生じる原因は、以下の通りです。

  • 現場で発生するオイルミストやその他の粉塵などからの影響
  • 現場の温度変化
  • プローブの汚れや摩耗
  • 測定機のコンディション

これらから生じる影響はわずかながら誤差となって現れます。これらは誤差が生じる原因となるだけでなく、放置しておくと次第に三次元測定機の故障につながる恐れもあります。

ごくわずかな誤差であるため、実用中にはっきりと誤差が出て気づくというケースはまれですが、自動プログラムで繰り返し測定が大量に行われる検査においては、わずかな誤差の発生が大きな影響を及ぼす可能性もあるため、注意しなくてはいけません。

測定誤差の種類と分類

三次元測定機で生じる測定誤差は、大きく「系統誤差」「過失誤差」「偶然誤差(確率誤差)」の3種類に分類されます。それぞれの特徴を正しく理解することが、誤差の原因を特定し適切な対策を講じるための第一歩です。

系統誤差

系統誤差とは、測定器の校正ズレや設置不良、スケールの経年劣化など、一定の方向に偏って生じる誤差を指します。三次元測定機では、プローブの校正不良や機械の幾何学的誤差が代表的な要因です。系統誤差は原因を特定できれば補正が可能であり、定期的な校正・点検を実施することで低減できます。

過失誤差

過失誤差は、測定者の操作ミスやデータの記入ミスなど、人為的な要因によって発生する誤差です。三次元測定機の現場では、測定プログラムの設定ミスやワークの取り付け間違い、座標系の設定誤りなどが該当します。作業手順の標準化やダブルチェック体制の導入によって防止することが可能です。

偶然誤差(確率誤差)

偶然誤差は、同一条件で測定してもランダムに生じるバラつきです。温度のわずかな揺らぎ、微振動、電気的ノイズなど完全には制御しきれない要因が影響します。偶然誤差は正規分布に従う傾向があり、測定回数を増やして平均値を取ることでその影響を統計的に抑えることができます。

測定者・測定手順に起因する誤差と対策

測定者の技量差や経験の違いは、測定結果のバラつきに大きく影響を与えます。測定箇所の選定方法やワークの位置・向き合わせが測定者によって異なると、同一ワークであっても測定値に差が生じることがあります。また、測定条件の設定ミスや操作手順の誤りといったヒューマンエラーも、無視できない誤差の原因です。

特に重要なのは、測定プログラムにおけるアプローチ方向の統一です。プローブのアプローチ方向がバラバラな場合、トリガー遅れ(プローブが測定面に接触してから電気信号を送るまでの時間差)が不規則に計上されるため、測定の再現性が著しく低下します。測定面に対して常に垂直にプローブを当てる「垂直アプローチ」を徹底することが、再現性向上の鍵となります。

ワーク固定時の過剰な締め付けにも注意が必要です。薄肉のワークを強くクランプすると弾性変形が生じ、固定状態の測定値が真の寸法と異なる結果になることがあります。対策としては、作業標準書やマニュアルを作成して測定手順を標準化するとともに、継続的な教育訓練を実施して測定技術の属人化を防止することが効果的です。

温度・振動などの環境条件による誤差

三次元測定機において、環境条件は測定精度に最も大きな影響を与える要因の一つです。温度管理が特に重要とされるのは、三次元測定機本体のスケール(目盛り)の伸縮と、測定対象であるワークの熱膨張の両方が測定精度を左右するためです。ここでは、温度ドリフト、振動、ワーク固定方法に関する誤差とその低減方法を解説します。

温度ドリフトの種類と管理方法

温度に起因する測定値の変動は、「初期ドリフト」「温度ドリフト」「経時変化」の3種に分類できます。

初期ドリフトは、電源投入後に機器内部の温度が安定するまでの間に生じる測定値の変動です。一般的に電源を入れてから30分〜1時間程度で内部温度と測定値が安定するとされており、測定開始前にはウォームアップ時間を十分に確保する必要があります。

温度ドリフトは、周囲温度の変化に伴って測定値が変動する現象であり、その影響量はスペック上の温度特性から算出可能です。例えば、温度特性が0.01% of F.S./℃、測定レンジが10mm、温度変化が10℃の条件では、最大10μmの誤差が発生する計算になります。このように温度変化の影響は無視できない大きさとなり得ます。

経時変化は、光学系を固定する接着剤の膨張収縮や機械部品の劣化などを原因として、長期間にわたって緩やかに生じる測定値のズレです。定期的な校正によって検出・補正することが求められます。

温度管理の基本は、基準温度20℃に保たれた恒温室での測定です。空調の風が三次元測定機に直接当たらないよう配置を工夫し、測定前にはワークを測定室内で十分になじませる「温度ならし」を実施することも欠かせません。

振動対策とワーク固定の注意点

工場内では、人の出入りや大型機械の稼働によって微振動が常に発生しています。特に鉛直方向の振動は三次元測定機に影響を及ぼしやすく、0.1μm〜数μmの測定値のバラつきを生じさせる場合があります。

振動対策としては、ローパスフィルタ機能を活用して高周波の振動成分を除去する方法が有効です。また、除振台(防振台)を設置して外部からの振動を遮断する方法も広く採用されています。センサとワークを一体化した治具で固定し、両者が同じ振動を受けるようにすることで、相対的な振動の影響を低減する手法もあります。

ワークの固定方法にも十分な配慮が必要です。薄肉ワークを過剰に締め付けると弾性変形が起こり、クランプした状態では寸法が合格であっても、クランプを解放した後に弾性回復によって不合格となるケースがあります。自重程度の軽い固定力で保持する方法や、実際の加工時と同じクランプ条件を再現して測定する方法が推奨されます。さらに、治具の素材には熱膨張係数の低いものを選定することで、温度変化による寸法変動の影響を最小限に抑えることができます。

スタイラス・プローブに起因する誤差と対策

三次元測定機の接触式測定において、スタイラスやプローブの状態は測定精度に直結する重要な要素です。スタイラスの選定から日常的な状態管理、適切な校正手順の実施まで、一連の管理を徹底することが誤差低減の基本となります。

スタイラスのチップ径・長さ・角度の影響

スタイラスの選定では、できるだけチップ径が大きく、長さが短いものを下向き(鉛直方向)で使用することがセオリーとされています。これは、スタイラスの長さが長くなるほど測定時のたわみ(撓み)が大きくなり、誤差が増大する傾向があるためです。特に水平方向の測定力が加わる場面では、スタイラスの剛性不足による変形が顕著になります。

チップ径の違いによる測定値への影響は比較的小さく、京都府織物・機械金属振興センターの研究報告によれば2μm程度にとどまるとされています。一方、スタイラスの角度は測定精度に大きく関わります。鉛直(0°)から傾けるほどプローブの接触方向と測定面の関係が変化し、偏差が大きくなりやすくなります。

短いスタイラスであれば、測定点数やキャリブレーション点数が少なくても装置の精度範囲内で測定が可能です。ただし、加工部品を測定する場合は、表面性状(粗さやうねり)の影響も考慮に入れる必要があります。表面粗さが大きいワークでは、チップ径が小さいスタイラスだと凹凸に追従しすぎて測定値がばらつくことがあるため、ワークに合わせた選定が求められます。

プローブ校正(キャリブレーション)の具体的な注意点

プローブ先端のルビー球に微細な埃や油膜が付着すると、球径が実際よりも大きく認識され、すべての測定値にオフセットが生じる原因となります。校正前には必ず、アルコールを含ませたシルボン紙(レンズクリーニングペーパー)でスタイラス先端を丁寧に清掃してください。

マスターボール(基準球)の表面も同様に清掃が必要です。基準球に汚れがあると校正値そのものが不正確になり、以後のすべての測定に影響が波及します。清掃後は拡大鏡を使ってルビー球の欠けや摩耗がないかを確認することが推奨されます。わずか1μmの摩耗であっても、精密測定では致命的な誤差につながる可能性があります。

校正のタイミングとしては、プローブやスタイラスを交換した直後、室温が大きく変化した後、および一日の作業開始時が適切です。校正の間隔が空きすぎると、環境変化やスタイラスの摩耗による誤差が蓄積するため、日常的な校正を習慣化することが測定精度の維持に欠かせません。

三次元測定機の精度を保つ方法

三次元測定機の精度を保つ方法は大きく分けて2つあります。まず1つは、三次元測定機を使用して測定する際の現場環境を整えることです。温度変化による誤差は、温度変化が起こらないように気を付けることで改善できる可能性が高いです。

続いてもう1つは、三次元測定機そのものを定期的にチェック・メンテナンスすることです。 定期的にメンテナンスを実施していれば、現場で発生したオイルミスト・粉塵による影響を受けていないか、プローブの汚れや摩耗が発生していないか、測定機のコンディションそのものに不具合が出ていないかがチェックできます。

万が一何らかの問題が発生していたら、適したメンテナンスを行うことで精度を保てるでしょう。

計測機器の校正作業も重要

三次元測定機を使う際は、計測機器の校正作業の重要性も理解しておかなくてはなりません。長く使っていれば、機械はどんなものであっても部品の劣化や故障が発生するものです。異常を確認するためには、定期的な点検が必要です。

測定機器の場合は、使用している機械が正しく測定できているかを確認する「校正」によって、修理や調整が必要かどうかを判断します。正しく測定できないまま使用していれば、製品の品質が保てません。会社の信用を失う問題にまで発展してしまうため、定期的な校正作業は製造業において重要な作業です。

校正をいつ・どのぐらいの頻度で行うかは決まりがありません。ただしISO9001の監視機器及び測定機器の管理という項目では、定められた間隔もしくは使用前に行うこと、とされているため、現場に合わせて決めておきましょう。測定機器のメーカーでは1年ごとの校正作業を推奨していることが多いです。

【種類別】三次元測定機
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三次元測定機に誤差が生じる原因とは?

校正そのものに測定の誤差を改善する役割はありませんが、改善の必要があるかどうかを知るための大切な作業であると理解しておきましょう。

こちらのページでは。「温度環境を整えた上で、専門知識・スキルのもと、正しく設定・測定しなくてはならない」といった三次元測定機の課題を解決し、誰でも簡単に測定できる三次元測定機を紹介しています

初心者でも使いやすい
三次元測定機XMシリーズを
チェック

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違いで比較現場の要望別:
三次元測定機の
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三次元測定機メーカー15社(※)の門型・アーム型・卓上型・ハンディ型と様々な製品を調査し、導入企業の声が公式HPで掲載されている信頼できる三次元測定機をピックアップ。 そのなかで「測定精度・安定性に優れている機器」「使いやすさ・汎用性に優れている機器」「実績・実例が豊富な機器」という3つに分けて、それぞれの三次元測定機が他と何が違うのかを詳しく解説します。

※「三次元測定機」とGoogle検索し、上位表示されるメーカーを15社選出しました。(2022年5月調査時点)
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引用元:キーエンス
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引用元:東京精密
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引用元:ミツトヨ
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