三次元測定機とレーザートラッカーは、特徴こそ違うものの使用するメリットはほぼ同じです。三次元測定機だけでなく、レーザートラッカーではいつ・どんな対象物を測定するのか、どんなメリットがあるかを理解しておきましょう。
レーザートラッカーとは、対象物に接触させたターゲットに対し、レーザーの光を照射してターゲットから反射したレーザー光が発光源に戻ることで、ターゲットの三次元位置を決定するという光学式測定機のことです。レーザーの発光源がターゲットから反射光を追いながら発光部・受光部が動くため、トラッカーと名付けられています。
レーザートラッカーは三次元測定機と比べて測定箇所に対してのアプローチが自由である、大型の対象物でも測定ができるという特徴があるため、三次元測定機では不可能な三次元測定を可能としています。測定しながら本体を動かせれば、巨大な設備・飛行機まで測定できます。
レーザートラッカーの測定方法は、SMRと呼ばれる測定救を手で持ち、測定物とSMRを接触させる方法が基本です。レーザートラッカーから出るレーザーをSMRがキャッチすることで、レーザートラッカーが点を測定できます。
レーザートラッカーの測定範囲は、最大80m程度といわれています。ただし、環境や状態にも左右されるため、実際はもう少し距離が短くなるでしょう。ベストフィットという方法を使用すれば、レーザートラッカーを移動しても、同じ座標で測定ができます。そのため、測定範囲は実質無限です。測定物が大きいときや、測定物を移動できないとき、三次元測定機に乗せられないときなどには、レーザートラッカーが使用されます。現地で測定ができるのが、レーザートラッカーの強みです。
レーザートラッカーの精度は、レーザートラッカーとSMRの距離によって変わります。三次元測定機と比較すると、精度は落ちます。しかし、三次元測定機では測定できない大きいものも測定でき、大きいものを測定できる測定器の中では、精度が高いといわれています。
レーザートラッカーの場合、対象物の大きさと測定範囲によって、測定精度が変わります。
レーザートラッカーは、座標は同じままで、測定器を移動して測定できます。大きいものの場合、1方向からすべての測定は困難です。その場合は、レーザートラッカーを移動させて、測定を行います。レーザートラッカーはレーザーで測定するため、レーザーが遮られると測定できません。
レーザートラッカーを移動する前には、座標系を作らなければなりません。レーザートラッカーがある位置で測定し、X・Y・Zの座標系を作ります。その後、ベストフィット用点を測定します。レーザートラッカーを移動した後で測定できる位置で、測定しておきます。最低でも3点の点を測定します。
レーザートラッカーの移動後には、移動前に測定したベストフィット用点を測定します。ソフトによって異なりますが、移動前に測定した点の名称と順番もあわせてください。ベストフィット用点を測定したら、移動前・移動後に測定した用点を、ベストフィットで合わせます。ベストフィット用点測定は、レーザートラッカーの移動後も変わらない位置で測定しましょう。
レーザートラッカーを移動しても、測定した点の位置関係はそのままです。そのため、移動前と移動後に測定した点を合わせることで、同じ座標系を認識します。
ベストフィットにはメリットがある反面、デメリットや注意点もあります。
ベストフィットの際には、誤差が生じます。測定の対象物が大きくなり、移動距離や測定にかかる時間が長くなるほど、誤差が生じやすくなります。そのため、できるだけ移動を少なく、1回で測定できる位置にレーザートラッカーを設置することが大切です。測定の精度を上げるには、移動を少なくすることが重要になります。
レーザートラッカーの測定にはいくつか種類があります。
リフレクタ測定は、レーザートラッカー測定の基本的なスタイルです。リフレクタを対象物の測定箇所に接着させて、そのリフレクタに照射されたレーザーが光源に戻ることで座標を取得するという仕組みです。対象物にはさまざまな種類があるものの、リフレクタ測定でしようするものを「リフレクター」と呼びます。
レーザートラッカーに専用の機器を接続させ、測りたい箇所に直接当てながら座標を取得します。スタイラスが入れる箇所であれば、奥まっている場所や隠れている場所も測定できます。
いわゆる非接触測定のことです。スキャナを手で振って動かしながら、対象物をレーザーでスキャンします。スキャナには種類があるため、精度や対象物のサイズ・材質で選択しましょう。ロボットに取り付けて自動で座標データが取得できるタイプもあります。
三次元測定機もレーザートラッカーも、使用するメリットは同じです。
ノギス・マイクロメータといったハンドツールでは測定が難しかった、立体的で複雑な形状でも評価・測定できます。自由局面の評価や仮想点の位置の算出、仮想点や仮想線を使った測定が可能です。
ハンドツールでの測定時に必要な技術は必要ありません。測定者による誤差はほぼなく、人為的ミスによる測定誤差や測定結果への影響が低減できます。作業時間も短くなり、高い精度を保ちながら品質も維持できます。
三次元測定結果をデータで出力できます。3DCADデータを読み込むことができる点も特徴です。3Dデータの作成や設計値と測定値の比較を容易にしてくれます。
大型ワークの三次元寸法を測定できる三次元測定機が「ワイドエリア三次元測定機WM シリーズ」。
最大15mの超広範囲測定ができ、直角度や平行度のような3次元の寸法も測定可能です。
今までの三次元測定機では測定範囲が限られてしまい複数人で対応しなければならないといった課題がありましたが、このシリーズでは大型サイズのワークを思い通りに測定できるため、今までになかった三次元測定機と言えます。
三次元測定機メーカー15社(※)の門型・アーム型・卓上型・ハンディ型と様々な製品を調査し、導入企業の声が公式HPで掲載されている信頼できる三次元測定機をピックアップ。 そのなかで「測定精度・安定性に優れている機器」「使いやすさ・汎用性に優れている機器」「実績・実例が豊富な機器」という3つに分けて、それぞれの三次元測定機が他と何が違うのかを詳しく解説します。
引用元:キーエンス
(https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/xm/007/2111_01.jsp)
引用元:東京精密
(https://www.accretech.jp/product/measuring/cmm/zeiss_xenos.html)
引用元:ミツトヨ
(https://www.mitutoyo.co.jp/products/measuring-machines/cmm/standard/191-812h/)